解雇されたら再就職に不利になるのか、はたして再就職できるか思い悩む方も多いと思います。
実際に僕も2回会社から解雇されて、もう1回は会社が吸収合併されることになり希望退職を強要された経験があります。
その時は大変苦労しましたが、なんとか3回とも再就職できましたよ。
その時の僕の経験に基づき、解雇されたら再就職に不利になるのかどうか?
また再就職を成功されるためには、どうすればよいかを詳しく解説します。
僕の解雇体験談
僕が新卒で入社したころは、日本の企業では終身雇用制度があたりまえで転職は一般的ではありませんでした。
そんな時代に会社員人生で2度も解雇され、希望退職も強要されることになるとは想像もしていませんでしたね。
しかし人生はいざとなれば、なんとかなるもんです。
労働法の知識もなかった僕が、弁護士事務所と契約して解雇無効を勝ち取り、再就職に成功した体験談をお話しします。
解雇1 大手アパレルチェーンを解雇される
副店長として勤務していた大手紳士服専門店を業績不振を理由に突然解雇されてしまいました。
明らかな不当解雇だったんですが、僕も当時は労働法の知識もなくどうしていいか途方にくれましたね。
当時僕は本店の副店長をしていたのですが、毎週月曜日の深夜まで行われていた幹部ミーティングの後に総店長から突然解雇を告げられたんですよ。
その時僕は労働法の知識も全くなかったので、解雇の種類や解雇理由を問いただすこともできずに解雇を受け入れてしまいました。
転職エージェントを利用して再就職に成功
それでもとにかく早く就職先を見つけなければいけないと思い、頼ったのがリクルートセンター(現在はリクルートエージェント)でした。
当時はインターネットもなかったので、直接電話をして横浜のリクルートセンターを訪ねました。
僕が転職エージェントを利用したのはその時が初めてでしたね。
リクルートセンターのコンサルタントは年配の男性でしたが、僕の話を時間をかけて聞いてくれました。
そして同業種で案件をいくつか紹介してくれたんですよ。
まずは紹介してくれた案件の中から、百貨店とアパレルメーカーに応募しました。
結果的にはその2社は面接に至らず、次に紹介してくれたスーパーマーケットに内定をいただきました。
退職してから約1か月を要しましたが、初めての再就職活動だったので家にいる時間がつらかったですね。
退職後の再就職はなるべくブランクを作らないほうが有利になりますので、早めに転職エージェントに相談しましょう。
解雇2 専門店チェーンの営業部長を解雇される
突然会社から懲戒解雇されてしまいました。
解雇理由としては就業規則《懲戒・諭旨解雇・懲戒解雇の事由》の中の(業務に関する会社の命令に従わないとき)に該当するということでした。
当時の社長は小売業の経験がない方だったので、社長の指示に対して意見を言ったことはありますが、業務命令に従わなかったわけではありません。
しかし社長にしてみれば意見されたことが気に入らなかったのか、無理やりこじつけで僕を退職に追い込もうとしました。
会社は10月末に取締役会を開催して、なんとその場で解雇を告げられたんですよ。
その後人事課長に個室に呼び出されて「この場で退職届にサインすれば解雇は取り消す」といわれました。
会社側としても、さすがにこの理由で解雇するのは無理があると思ったんでしょうね。
ひどい話です……
僕はその時は落ち込みましたが、NPO法人の担当者や弁護士の先生に相談しながら解雇無効を勝ち取るために行動を起こしました。
まずはNPO法人と弁護士事務所に、会社の就業規則と解雇通知を提出しました。
解雇通知には「貴殿の業務遂行における不適格な業務処理により、顧客からの評価が下がり、社内業務が滞る事態となっております」と記載されていましたが、なんら具体的な事例は記載されていませんでしたね。
NPO法人の担当者や弁護士の先生も、「会社側はよくこれで解雇に踏み切りましたね」とあきれていましたよ。
僕は同時に転職エージェントおよびハローワークに登録、東京しごとセンターミドルコーナーのセミナー参加を行いました。
今考えてもあの頃はよく頑張ったと思いますね。
僕を突き動かしたパワーは、明らかな不正解雇を撤回してやるという強い気持ちでした。
再就職活動と弁護士事務所への相談を同時進行
53歳での再就職活動は困難をきわめましたが、東京しごとセンターのセミナーで知り合った仲間と励ましあいながら活動したのでメンタルを保つことができました。
再就職活動では、同じような境遇の仲間を作ることも大事ですよ。
そのおかげで再就職活動3か月目の2014年1月初めころから面接が入り始め、2月にハローワークで見つけたコインランドリーチェーンの店舗運営課長として再就職できたんですよ。
コインランドリーチェーンの1次面接は役員2名と約2時間にわたり行われました。
面接時にはまだ解雇無効になっていなかったので、「退職理由は解雇です」と正直に回答しました。
僕は解雇された背景を詳細に話したので、退職理由については大きな問題にされなかったですね。
1次面接の2週間後に社長との最終面接が行われましたが、退職理由については特に質問がなかったですね。
そして最終面接後に無事に内定をもらいました。
再就職活動を開始してから3か月後の2月1日から勤務開始でしたね。
僕は再就職活動と並行して弁護士事務所と契約書を締結して着手金を支払い、相手方企業との交渉を委任していました。
個人で弁護士事務所に業務を委任するのは初めてだったので緊張しましたが、スムーズに進めることができましたよ。
弁護士事務所は事務所名と弁護士連名で、相手側企業に内容証明郵便を送付してくれました。
最終的に解雇無効と再就職を勝ち取る
内定が出た時は、再就職活動を開始してから3か月が経過していましたね。
そして僕は、2014年2月1日からコインランドリーチェーンの店舗運営課長として勤務を開始しました。
コインランドリーは初めての業界だったので覚えることが多く大変でしたが、充実した日々を送ることができましたよ。
そんな日々の業務に忙殺されていた2月中旬のある日に、弁護士事務所から突然電話がありました。
なんと相手側の企業が和解に応じて、解雇撤回及び解決金支払いの合意書にサインをしたということだったんですよ。
弁護士の先生によると、弁護士事務所が弁護士連名で内容証明郵便を送付してからすぐに合意したそうです。
正直、労働審判になると思っていたので、あまりにもあっさりと解決したのにはビックリしましたね。
これにより、悩んでいた解雇と再就職がいっぺんに解決したんですよ。
希望退職 コンビニエンスストアチェーンで希望退職を強要される
約10年勤務していたスーパーマーケットを退職して、転職エージェントに紹介していただいたコンビニエンスストアチェーンのマーチャンダイザーとして就職しました。
自分のキャリアを活かせる仕事だったので、激務でしたが充実した日々を過ごしていました。
しかし僕が働いていた中堅コンビニエンスストアチェーンと大手コンビニエンスストアチェーンとの収益力の差は拡大する一方で、ついに企業として単独での存続が困難になってきたんですよ。
そして最終的に大手コンビニエンスストアチェーンに吸収合併されることになりましたが、40歳以上の社員は一部の役職者を除いて退職勧奨を受けることになってしまったんです……
その時僕は49歳だったので、当然再就職は厳しいだろうという意識があり、度重なる上司からの退職勧奨にもめげずに何とか会社に踏みとどまろうとしました。
しかし最後は所属したコンビニエンスストアチェーンの屋号も存続しないことになり、会社の希望退職に応ぜざるを得なくなったんですよ。
退職日は2009年12月24日、とてもつらい49歳のクリスマスイブでしたね。
僕はやむを得ず、その後会社が用意してくれた再就職支援会社に毎日通って再就職活動を開始しました。
ハローワーク求人に応募して120倍の倍率を勝ち抜き見事に再就職に成功
しかしその年はちょうどリーマンショックの翌年で、有効求人倍率は0.5を割り込んでいました。
そのため再就職活動は困難をきわめましたね。
しかし約3か月の再就職活動ののちに、ハローワーク経由で応募した専門店のCS推進部長として、なんと120倍の倍率を突破して採用されたんですよ。
その時は2回面接を行いました。
1回目は人事担当者と総務部長、2回目は会長、社長と取締役との面接でした。
僕は1回目の面接で会社の課題を聞き出し、店舗を回って課題の解決方法をレポートにまとめて、最終面接でプレゼンして内定を勝ち取りました。
解雇されると再就職に不利になるのか
退職理由が解雇であることを正直に伝えると、転職活動では不利になるのではないかということは気になるところですよね。
しかし懲戒解雇以外の解雇で退職した場合は、必ずしも不利にはなりません。
業績不振などの会社都合による解雇は、むしろ好意的にみられることが多いです。
採用側としては会社都合により解雇された応募者よりも、短期間で自己都合退職を繰り返す応募者を嫌う傾向があります。
なぜならせっかく採用しても、すぐに退職してしまうのではないかという懸念をいだくからですね。
僕も採用担当者として100人以上の採用面接を行いましたが、採用してもすぐに退職してしまうのではないかということは常に気にしていましたね。
採用した応募者がすぐに退職してしまったら、採用担当者としての評価が下がりますからね。
解雇の種類によっても再就職の難易度は異なる
一言で解雇といっても大きく分けると3種類あります。
解雇の種類
- 普通解雇: 懲戒解雇と区別するための概念 労働者の債務不履行を主たる理由とする解雇 健康不良、成績不良、能力不足、勤怠不良、職務規律違反、業務命令違反等
- 整理解雇:会社が経営不振の打開や経営合理化を進めるために、人員削減を目的として行う解雇 いわゆるリストラ
- 懲戒解雇:制裁罰としての解雇 解雇の中でも一番重い処分
この中で、普通解雇と懲戒解雇は労働者の責に帰する解雇、整理解雇は会社都合による解雇なので、整理解雇は再就職には大きく不利になることはありません。
むしろ企業によっては応募者に同情するところもあるくらいですよ。
なお企業側が整理解雇を行うには4要件が満たされることが必須になるので、整理解雇を告げられた時は必ず要件が満たされているかどうか確認してください。
整理解雇の4要件
- 人員削減の必要性があるかどうか
- 会社が解雇回避努力義務を行ったかどうか
- 解雇される人物を選んだことに相当性があるか
- 労働者・労働組合への説明・協議を十分におこなったか
解雇の種類によって不利になる場合もあるが再就職は可能
解雇を告げられた時は、まずは解雇の種類を問いただしてください。
そして会社側に、解雇の理由を文書で提出するように要請してください。
それから文書で提出された理由を、労働法や就業規則に照らし合わせて、解雇の妥当性を確認しましょう。
多くの場合は解雇に妥当性がありません。
なぜなら日本の労働法では解雇が厳しく規制されているからです。
労働契約法第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
整理解雇を告げられた場合も理由を文書で提出させて、4要件を満たしているか照合してください。
あなた自身で判断できなければNPO法人、労働局や弁護士等の専門家に相談するとよいでしょう。
解雇に妥当性があったとしても、整理解雇は会社都合なので再就職に不利になるということはほとんどありません。
むしろ自己都合退職を繰り返す応募者よりも有利にみられることが多いですよ。
なぜなら自己都合退職を繰り返す応募者はジョブホッパーとして、すぐに退職してしまう懸念をいだかれるからです。
いちばん再就職に不利になるのが懲戒解雇ですね。
懲戒解雇については僕の体験談をもとにどうすれば再就職できるか、詳しく解説しますね。
解雇されて再就職を成功させるにはどうすればよいか
会社から突然解雇されると、誰でもショックで頭の中が真っ白になると思います。
そしてこの先、はたして再就職できるのだろうかと不安になりますよね。
実際僕もそうでした。
再就職するために一番大事なことは、まずはメンタルを維持することです。
一度冷静になって今後の計画を立てましょう。
そのためには専門家に相談することをおススメします。
解雇を無効にするには労働専門のNPO法人や労働局、弁護士事務所など。
再就職の相談なら転職エージェントに登録しましょう。
応募書類に解雇されたことを記載する必要はあるのか
応募書類には職務経歴書と履歴書がありますが、特に退職理由を記載する必要はありません。
履歴書はフォーマットにしたがって、職歴欄に1社ごとの入社・退社の年月を正確に記載します。
書類選考が通過して面接に至った場合に退職理由を聞かれますので、その時に解雇されたことを話しましょう。
面接で退職理由を正直に話せば経歴詐称にはなりませんよ。
面接で解雇されたことをどう伝えれば採用されるか
面接では退職理由を聞かれますので、正直に解雇されたことを伝えましょう。
解雇された事実を隠して採用された場合、あとから発覚すると経歴詐称で再度解雇されてしまいますよ。
解雇されたことは採用に不利になると考えがちですが、採用担当者の立場からすると採用してもすぐに退職されることを一番懸念するので、自己都合退職を繰り返している応募者よりも有利になることがあります。
解雇された背景を正直に話して、採用担当者がやむを得ない理由だと判断すれば採用に不利にはならないですよ。