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中古車を探しているとよく見かける「HIDライト」・・・一体なんの事

「クルマに乗って旅行やお出かけが多いわたし達家族が、みんなで広くゆったり乗れるミニバンを探していると、気になった1台に『HIDヘッドライト付き!』と書いてある・・・」

「他の中古車販売店の在庫車を観ると今度は『ディスチャージヘッドライト付き!』と書いてある!何が違う?」

「もちろん何も無いミニバンもある。」

「それはわたしにも必要なモノなの?」

クルマをよく知らない人、クルマは移動や旅行するための手段でしかないと考えるクルマ自体にはほぼ興味がない人、そんな人には何の事やらさっぱりわからないと思います。

余談ですが家電やパソコンが好きな人なら再生機器の映像を高画質で映し出すシステム規格「HDMI」とイメージが重なってより一層混乱しているのではないでしょうか?全然関係ないんですけどね。

今回はそんな「HID」に付いてのお話です。

「HID」とは一言で言えば「白い光の明るいヘッドライト」

HID照射
ハロゲン照射

上記写真を見比べて頂きたい。

明るい白い光で視界良好なのがHIDの特徴。

2017年現在、国産車に搭載されるヘッドライトは大まかに分類して・・・

  • 古くから存在する黄色っぽい色味のヘッドライト「ハロゲン」
  • 15年ほど前から少しずつ普及された白くてとても明るい「HID」
  • 最新型・省電力で白くとても明るい「LED」

・・・と3パターンあります。

(今回はテーマがずれてしまうので「LED」に関してはノータッチとします。)

一言メモ・「HIDライト」「ディスチャージライト」「キセノンライト」は全て同じモノを指します。

「HID」とは「High Intensity Discharge」(高圧放電)の頭文字を取った略語となります。

「HID」の文字列に含まれる「D」の文字は「ディスチャージ」(放電)の「D」となり、厳密には「空中放電」「atmospheric discharge」から由来し「ディスチャージライト」とも呼称される。

また、バルブのガラス管に充填されているガスがキセノンガスである事から「キセノンライト」とも呼称される。

HIDの仕組み

古いクルマなどに使われていた黄色っぽいヘッドライトは一般的に「ハロゲン」と呼ばれます。

「ハロゲン」の基本原理は「豆電球」と同じです。

ハロゲンの仕組み

光る(細いハリガネみたいな)部品を「フィラメント」と言います。

HIDには「フィラメント」が無く、キセノンガスという不燃ガスを充填したガラス管の中で空中放電させる事で光らせます。

HIDの仕組み

わかりやすく言いますと、ガラス管の中でとても小さな「雷」を起こしているイメージですね。

一般的に見慣れたモノで言えば家庭で使う「蛍光灯」が同じ原理です。

HIDライトの特徴!

HIDの特徴はハロゲンと比べ・・・・

  • 発光色が太陽光に近い「白」でとても明るい!
  • 長寿命!

クルマに興味がない人でも「夜間明るくて視界が良くなる事」と「長寿命なので交換する費用や時間を節約できる事」はメリットが大きいのではないでしょうか?

発光色が太陽光に近い「白」でとても明るい!

ヘッドライトが明るいと、夜間、道を横切る歩行者や動物などの発見が早くなる事で事故を未然に防げたり、また暗くてよく見えないと、人間の心理としてよく見ようと眼に意識を集中させる為、無駄に集中力を消耗してしまいますが、そういった精神的疲労の軽減にも繋がります。

一言メモ・社外品ではバルブの設定により青く光るモノや黄色っぽい色味のモノがある!

(自動車メーカー純正HIDではほとんどが「白」)

光の色味を「ケルビン」という単位で表され数値が低いほど黄色っぽく、高いほど青っぽくなります。

  • 3000ケルビン→やや黄色
  • 4500ケルビン→ほぼ白
  • 6000ケルビン→青白い

車検合格の基準に関して、平成18年1月1日以降に製造された車両に関しては前照灯は白色・平成17年12月31日以前に製造された車両は黄色でもOK。いずれも青は不可。

ケルビン値によっての合否はなく、あくまでも検査員の主観によって判定されるが、6,000ケルビンを超えると車検に通らなくことも多いので注意が必要です。

HIDは長寿命

従来のハロゲンは、寿命となり発光できなくなった時「電球が切れた」と人は表現しました。

文字通りフィラメントが発光時に伴う熱で劣化し、断線して(切れて)光らなくなります。

HIDでは発光する部分に固体物質が使われておらず、空中放電の為、寿命が長く、ハロゲンのおよそ4倍~5倍とされ、時間にしておよそ2000時間、毎日1時間夜間走行をしてもおよそ5年半となります。

HIDの寿命は、電球内に充填されている不燃ガスが少しずつ抜ける事で明るさが低下するのですが、本来の発光量の70%を下回った時とされております。

(それでも使い続けるとやがて光が赤くなり最終的には光らなくなる。)

但し、安物社外品HIDの場合、走行振動で付随する部品がバルブ(電球)の寿命前に壊れてしまうトラブルもあるようですので注意が必要です。

HIDライトの弱点

クルマを新しい感じに見せる白い光のHID。暗闇でも視界良好です。

しかし、そんな「HID」にも弱点があり、従来のハロゲンではスイッチオンにしてから一瞬で明るくなりますが、それに対しHIDはオンにした直後は青白くやや暗めに点灯し、数秒程かけて完全に明るくなるという、タイムラグがあります。

日本人の多くは通常時「ロービーム」で走行し、「ハイビーム」は暗いと感じない限りほとんど使わない、というデータがあります。

(道交法としては基本ハイビームで走行、他車とのすれ違い時、または前に順行車が居る場合のみロービームを使う事とされている!)

その為、ハイビームはドライバーが「前が暗い!よく見えない!状況を確認したい!」と思った瞬間パッと明るく照らし出せなければならないため、国産車はロービームのみHID、ハイビームはハロゲンという組み合わせがほとんどとなります。

一言メモ・「省電力」という噂が横行するHID。実は全く省電力ではない。

HIDはハロゲンとは基本構造が異なり、発光させるため「バルブ」(電球)以外に「バラスト」という直流電流を交流電流に変換した上で数万ボルトに昇圧させるパーツが必要となり、そのパーツも電力消費するので、合計すると「バルブ」のワット数が同じならば、ハロゲンよりも大きくなります。

「省電力」という俗説を信じてエンジン停止のまま点けっぱなしにした場合、ハロゲン同様すぐにバッテリーが上がってしまします。(バッテリー内の電気が無くなってしまいます。)