家具(かぐ)とは、家財道具のうち家の中に据え置いて利用する比較的大型の道具類のことで、建築物に造り付けられている道具類も指します。 家具は人の身体を支え、作業を行う場となり、ものを載せたり収納するといった機能を持ち合わせている、私たちの生活に無くてはならないものです。 家具のうち、建築と一体化して動かせない家具のことを「造り付けの家具」という意味で『造作家具(ぞうさくかぐ)』と呼び、置き型の家具と区別されます。 造作家具は、新築住宅だと大工さんが建物と同時に製作することもありますし、リフォームやリノベーションだと造作家具を扱っている家具製作会社が部屋のサイズに合わせてオーダーメイドで造りこんでいくということもあります。 単純な造作家具なら、ホームセンターなどで資材を買って、DIY(※)で製作する例も増えてきているようです。 ※DIY(ディーアイワイ)とは 素人が、何かを自分で作ったり修繕したりすること。 英語の「Do It Yourself」の略語で「自分でやってみよう」という意味がある。 家具の分類を行う場合、生活様式によれば「和式」と「洋式」に、形態によれば「箱物(はこもの)」と「脚物(あしもの)」に大別できます。 箱物とは、箪笥(たんす)やキャビネットなど箱型の収納家具の総称のことで、脚物とは椅子やテーブルなど、脚の付いている家具の総称のことです。 箱物(はこもの):タンスやキャビネットなど箱型の収納家具の総称 脚物(あしもの):椅子やテーブルなど脚の付いている家具の総称 インテリア空間やインテリアエレメントを設計する際には、下図のような人間工学的な分類も頭に入れておきましょう。 ▲人間が座ったり寝転んだりする椅子やソファ、ベッドは「人体系家具(アーゴノミー系家具)」、テーブルやデスク、キッチンなどの物を載せて人間がそこで作業するものを「準人体系家具(セミアーゴノミー系家具)」、収納やパーテーションなど建物に付随して使用するものを「建物系家具(シェルター系家具)」という。 人体系家具(アーゴノミー系家具):ソファやベッドなどのように人の身体を支えるための家具の総称。 準人体系家具(セミアーゴノミー系家具):テーブルやデスク、カウンターなどの、物を載せて人間がそこで作業するための家具の総称。人の行為を支援する家具ともいえる。 建物系家具(シェルター系家具):タンスやパーテーションなどのように収納や部屋を間仕切りするための家具の総称。 ソファ(sofa)とは、座面や背もたれにクッション性があり、1人から数人が座ってくつろげる椅子に似た家具の1種です。 英語圏以外でも広い範囲で「ソファ」という名称が用いられていますが、フランスでは「カナぺ(Canapé)」、イタリアでは「ディヴァーニ(divani)」と呼ばれます。 「ソファ」という言葉は紀元前2000年前のエジプトにまで遡り、当時「ベンチ」と訳されていたアラビア語の「Suffah」に由来しています。 古代ギリシャから古代ローマ時代には、現在のソファの起源とも呼べる休息用の寝椅子「Kline(クリーネ)」が用いられ、これはベッドと椅子の中間のような機能を持ちあわせていました。 クリーネは裕福な人物にのみ使用されていて、彼らは飲食をしたり、寛いだりする時にクリーネに寝そべっていたようです。 ▲クリーネはベッドにしては小さいし、ソファにしては背もたれの位置が微妙だった。 イージーチェアとは、リビングなどでくつろいで座るために設計された椅子のことです。 ダイニングチェアと比べると、楽な姿勢を保つために背もたれが傾斜していて、座面が低くなっているのが特徴です。 一般的な1人掛けのソファと比べるとクッション性はやや劣りますが、1人で持ち運びが出来るものが多いので、テレビや読書などの用途に合わせて気軽に置き場所を変えられるという利点があります。 ▲イージーチェアはソファなどと違って、向きを変えたり運ぶことが容易(イージー)である。 ▼フィン・ユールのイージーチェアはこちらから▼ ▲ミッドセンチュリーを代表するデザイナー「チャールズ&レイ・イームズ」の代表作のひとつ『Lounge chair & Ottoman』(1956年) ラウンジチェアとは、イージーチェアと同じように傾斜のある背もたれが特徴の1人掛け用椅子のことですが、厚めのクッションが付いているなどイージーチェアと比べるとさらに休息性が高い傾向があるのが特徴です。 「ラウンジチェア」とは名前の通り、もともとはホテルのロビーや待合室などの「ラウンジ」と呼ばれる場所に置かれる椅子を指しているので、イージーチェアでもラウンジに置いて使用される場合も「ラウンジチェア」と呼ばれることがあるなど、2つの言葉の使い分けはやや曖昧となっています。 ▼チャールズ・イームズのラウンジチェアはこちら▼ パーソナルチェアとは、「personal(個人用の)」という言葉の通り、1人で使う椅子のことであり、広義では「イージーチェア」も「ラウンジチェア」もパーソナルチェアに該当します。 狭義では背が傾いて固定される機能をもつ「リクライニングチェア」や、椅子が前後に揺れる機能をもつ「ロッキングチェア」など、1人の時間をリラックスしてくつろげるような機能を有したチェアを指します。 また「座椅子」、「折りたたみチェア」、デスクワーク用の椅子である「オフィスチェア」も1人用の椅子であるためパーソナルチェアと呼ばれます。 ▲折りたたみチェアの草分け的存在である新居猛(にいたけし)の『NychairX』 ▼新居猛って誰でしたっけ?て方はこちらから▼ リビングテーブル ▲リビングテーブルは置かれる位置によって異なる名称で呼ばれることがある。上の写真のように中央に置かれるテーブルは「センターテーブル」、ソファの横などに補助的に置かれる小さなテーブルは「サイドテーブル」という。 リビングテーブルとは、リビング空間でソファなどに合わせて置かれる床から天板までの高さが低いテーブルの総称で、「ローテーブル」、「コーヒーテーブル」、「センターテーブル」などとも呼ばれます。 リビングテーブルの高さはソファに合わせて選定することが多いですが、概ね30~40cmくらいが一般的です。 また収納用の引き出しが付いていたり、昇降機能により高さを変更できるものもあります。 ネストテーブルとは、同素材で統一されたデザインで大きさが少しずつ違うテーブルを組みにして、入れ子にして重ねて置けるようにしたテーブルのことです。 3つで1セットとなっているのが一般的で、バラして多人数でそれぞれサイドテーブルと使ってもよし、3つを1カ所に固めてリビングテーブルとして使ってもよし、使わない時は入れ子にしておけば場所も取らないという便利なテーブルです。 ▲腰高のサイドボードに植物やアートを飾れば、すてきな観賞用ディスプレイ置き場となる『MASAI SIDE BOARD』(Porada) サイドボード(Side Board)とは、リビングでAV機器や本、インテリア小物などを収納したり飾るための収納家具で、「リビングボード」とも呼ばれます。 サイドボードは一般的に腰高のものが多いですが、低めのボードは「ローボード」や「TVボード」とも呼ばれ、テレビやスピーカーが置かれて、AV機器が内部に収納されることが多いです。 サイド(Side)という言葉には「側・脇・横」、ボード(Board)という言葉には「板・台板・食卓」という意味があり、もともとはダイニングテーブルの側にあって、ナイフやフォーク、お皿など食器類を収納する家具のことを「サイドボード」と呼んでいたのです。 ▲サイドボードの天板の上は、配膳の際に食器類を一時的に置いたり取り分けたりするテーブルとしても使われていた。 ▲収納の扉を手前に倒すと机の天板となるライティングビューロー。机は施錠できるようになっており、貴重品をしまっておくことができる。 ライティングビューローとは、机と戸棚、書棚などが組みになっている書き物机のことで、閉じている扉を開くと机の天板になるものや、手前に引き出すと机の天板となるものなどがあります。 使用しない時は天板を閉じればコンパクトになるので、収納を行いながらちょっとした書き物やパソコン作業を行いたい時には最適な家具だと言えるでしょう。 また、机の天板部分は施錠できるようになっているので、貴重品や見られたくない手紙などは、この中にしまっておくことが出来るというのもユニークですね。 ▲閉じられた状態のライティングビューロー。このライティングビューローは引き出し全てが施錠できるようになっている。 ライティングビューローの起源は定かではありませんが、18世紀に製作されたデスクの中に隠し収納を設けたライティングビューローとそっくりなデスクがすでに存在しています。 ▲18世紀に製作されたデスク『Slant Front Desk』は、ライティングビューローと同じデザイン。この扉を開くと・・・ ▲・・・扉が机となった。中には5つの棚と小さな引き出しが見える。この中央の引き出しにご注目! ▲なんと中央の棚と引き出しが丸ごと引き抜ける作りに。棚の上にある丸い穴に指を掛けて、手前に引っぱると取り出せる仕組みだ。 ▲棚を引き抜くと、奥の底の板に小さな紐が付けられているので引っ張ると外れて・・・ ▲なんと隠された収納が登場!このような家具は秘密(Secret)の収納があったことから「Secretly(セクレタリー)」とも呼ばれていたのだとか。 ▲ワークチェア(オフィスチェア)の代名詞ともいえるビル・スタンフとドン・チャドウィックが開発したハーマンミラー社の『アーロンチェア』 ワークチェア・ワーキングチェア(事務用回転椅子)とは、事務仕事やパソコン作業用に設計・製作された椅子のことで、同様の椅子でオフィスでの使用を目的としたものは「オフィスチェア」と呼ばれます。 身体の向きを変えやすいようキャスターがついているのが特徴で、座ったり立ったりという動作が容易です。 ▲キャスターは動きやすいよう5スターベース(5本足)のものが多い。チャールズ&レイ・イームズがデザインしたハーマンミラー社の『アルミナムグループマネジメントチェア』 また、長時間の作業による身体への負担を軽減するために、身長や座高、肘の高さに応じて各所の高さを調整できる可動機構を備えているのが一般的で、取り外しが可能なものもあります。 ▲身体の大きさに合っていない椅子は身体への負担が大きくなる。多くのワークチェアでは可動機構により使用者の身体の大きさに合った高さに調節することができる。 ワークチェアの代表的な機能には、背が前後に動くロッキング機能や、着席時の衝撃を抑えるタックリング機能、キャスターに導電性の材料を用いて脚部から静電気を逃す導電機能などがあり、背中の形に合わせて背もたれの形状が変わるランバーサポートは、腰への負担を軽減する機能として人気があります。 ▲ランバーサポートにより正しい背骨のカーブに矯正することができる。 ▲アーロンチェアに搭載されていたランバーサポート。上下にスライドさせて高さ調節、表裏をひっくり返すことでパッドの厚みを変えることができる。(現行モデルではさらに進化した「ポスチャーフィットSL」が搭載されている。) ※本ページはプロモーションを含みます
家具の分類
リビングで使われる家具とは?
ソファ
イージーチェア
ラウンジチェア
パーソナルチェア
ネストテーブル
サイドボード(リビングボード)
書斎で使われる家具とは?
ライティングビューロー
ワークチェア・ワーキングチェア(事務用回転椅子)